熱帯魚飼育・水草育成に適した水温は?
◎25度前後が適温
熱帯魚によりますが、だいたい22度〜28度の間です。そのため、水槽用のクーラーやファンなどは25度を目標水温としている商品が多いです。もしファンやクーラーで水温を下げる場合、この水温が目安となります。
夏場は室温35度を超えることもあり、何も対策をしなければ水温も30度を超えてきます。
水温30度を超えると、シュリンプが死に始め、熱帯魚も弱り始めます(種類、個体によっては死ぬこともあります)。また、水草も高温に弱い種類が多く、30度を超えてくると調子を崩し始める種類も多く流通していますので注意が必要です。
◎水温上昇の影響・リスク
水温が上昇すると以下のような影響がでてきます。
溶解酸素量の低下による生体・バクテリアの酸欠熱帯魚、エビ、水草等の生体は呼吸をしますので、水中内に酸素が溶け込んでいることが必須となります。
水の性質上、温度が上がれば上がるほど、酸素や二酸化炭素など気体の溶解量は減少します。そうなると、生体に必要な酸素量が水槽内に存在せず、酸欠状態となり、CO2が減少し、水草の光合成もうまく行われず、酸素が水中内に供給されないということが起こってしまいます。
さらに、熱帯魚などの生体は水温があがると活性も上がります。そうなると、消費される酸素量も増え、水中内に二酸化炭素量が増加します。
また、熱帯魚やエビ以外にも有害物質を無害化する「好気性細菌」というバクテリアが水槽内に存在します。
このバクテリアたちの活動には酸素が必須なのですが、水槽内に酸素がないと死滅してしまいます。
その代わりに酸素を必要としない「嫌気性細菌」というバクテリアが発生し、活動を活発化させますが、このバクテリアたちは悪臭の原因となります。
熱帯魚は温度変化に弱い種類も多く、水温変化が急激な場合には体調を崩し、病気になってしまうことがあります。
水温変化が原因でひきおこされる病気で代表的なものに「白点病」があります。
「白点病」はその名の通り体に白い点がつく病気で、次第に体力が減少し、死に至る病気です。
この病気は水槽内で他の熱帯魚にも移ってしまいますので、早期発見、早期治療が重要です。
「高い水温への急激な変化」よりも「低い水温への急激な変化」で起こりやすい病気です。
この病気をみつけたら
・水温を30度程度に設定する
・塩を入れ1%程度の濃度にする
・メチレンブルーを水槽に投入する
早めの処置が必要です。
水槽用クーラー
水槽の冷却方法として最も信頼できるのがこの「水槽用クーラー」です。
水槽外に設置する本体に水を通過させ、本体に通過させる際に冷却を行います。この冷却方式には「ペルチェ式」と「チラー式」の2通りあります。
・ペルチェ式
水槽用クーラーの中では安価なタイプです。
そこまで冷却能力は高くありませんので、中型水槽、大型水槽には向かず、基本は小型水槽向けのラインナップが多いです。
冷却効率はチラー式に劣りますが、価格はチラー式よりも安価に入手可能です。
・チラー式
冷蔵庫で使用される冷却方式で、冷却効率が高く、電気代が抑えられるのがメリットです。ただし、初期投資は今回紹介する方法の中で最も高くなります。
冷却効率が高いため、稼働時間も短くなり、ペルチェ式よりも電気代を抑えられます。
また、排熱時に、本体から生ぬるい空気が排出されますので、部屋の温度が上昇してしまうこともあります。風で排熱するため、水槽台の中などの密閉された場所への設置には不向きですので、事前に設置場所の確認をしてください。
ペルチェ式よりも静音性は高いですが、それでも製品によっては多少音が気になるものもありますので、寝室など、音が気になる場所に置く際には特にその製品の評判を見てから購入することをおすすめします。
冷却だけではなく、ヒーターを接続すれば温めることも可能です。
失敗しない水槽用クーラーの選び方
水槽用クーラーは連続長時間稼働による故障を避ける為にメーカーによって稼働時間を管理してあるものもありますが生態の命を最優先させる為、万が一、長時間の運転が必要になった時でも、機械の制御をせずに設定温度まで稼働させるような設計の水槽用クーラーもあります。
そのような水槽用クーラーを使用した場合、クーラーの能力が合っていないと常にクーラーが稼働し続け故障の原因になりますので、適正な能力のクーラーを選定するようにしましょう。
水槽用クーラーの多くは適合水量で選定をしますがここで注意しなければならないのが水槽水量だけではなく、濾過層の水量や周辺設備の損失熱量も考慮しなくてはなりません。
損失熱量の考慮にはいろいろな計算の仕方がありますが水槽用クーラー製造メーカーの1社が推奨している計算式をご紹介いたします。
水槽や濾過層の水量はサイズで計算し、10cmを1リットルと計算します。
例 水槽幅120cm×高さ45cm×奥行き45cm=12×4.5×4.5=243リットル
濾過層幅60cm×高さ50cm×奥行き45cm=6×5×4.5=135リットル
合わせて378リットルになりさらに周辺設備の損失熱量を計算すると1w=1リットルで計算しますので照明300w+循環ポンプ30w+殺菌灯20w=350w
合計で728リットルとなりますのでこの容量をカバーできる1000リットルタイプなどを選ぶようにするといいでしょう。
ただ先にも記載しましたように水槽用クーラーは周辺環境に影響されやすく室温が35℃を超えるような環境下では能力が30%低下するとなっていますので1000リットルでは700リットルの能力に低下してしまう為、もうワンランク上の製品を検討したほうがいいことになります。