熱帯魚、エビ飼育に使用する水槽用照明&ライトの選び方

アクアリウムで使用される照明には「LED」「蛍光灯」「メタハラ」の3種類あり、水槽で何を飼育・育成するかによって選ぶ必要があります。

ここではアクアリウム水槽用の照明・ライトの特徴などを比較していきたいと思います。

スポンサーリンク

光の必要性

まずそもそも「光」がなぜ必要なのでしょうか?

熱帯魚の場合

・光により生活のリズムを整えられる

・体色が鮮やかになる

市販されている熱帯魚はよほどマニアックなものでない限り、日光を基準にして生活のリズムを整えます。

カージナルやネオンテトラなどの昼行性の魚は太陽の光があるときに活動し、太陽の光がなくなれば体を休めます。

そうすることで、体内のリズムが正常になり、熱帯魚も健康に生きていけるということです。

水草の場合

光合成による成長に必須

求める光の強さ(光量)はその水草や珊瑚の種類によって様々ですが、水草の場合、光をエネルギーとして「光合成」を行うことで成長していきます。

光が足りないと、光合成がうまく行えず、弱々しい姿に育ってしまいます。また、光合成が正常に行われると、間接的に水草以外にもメリットがでてきます。

水草は成長する際、「窒素化合物(亜硝酸など)」のように熱帯魚に有害な物質や、水中の余分な栄養素を吸収してくれます。

窒素化合物を吸収してくれるので、水槽内の水質安定にも繋がりますし、放置しておけばコケに回るはずだった栄養素を吸収してくれるので、コケ発生の予防にもつながります。

すべては光合成ありきですので、光を水草に当てることで水質が浄化され、濾過能力が向上するというわけです。

照明・ライトのメリット

室内でアクアリウムをやっているほとんどの人は、水槽用の照明やライトを設置しているはずです。コンテストに出ている水槽はほぼ100%人工照明によって創りだされています。

・点灯・消灯時間を人為的にコントロールできる。

光を当てるだけが目的なら太陽の光でもいいのでは?って思う方もいらっしゃるかもしれません。

太陽光の場合、朝から夕方にかけて光が差し込みますが、その時間って家にいないことが多いのではないですかね?

そうすると、仕事や学校から帰ってきた時には水槽内はまっくら、、、という状態になってしまいます。鑑賞目的が強いアクアリウムで、それは面白くありませんよね…。

そのため、アクアリウムでは普段自分が家にいる時間に照明を点灯、いない間には消灯させることで、水槽内の熱帯魚や水草の生活リズムを人為的に変更したりします。

時間を設定するためには、人為的に変更できる仕組みが必要ですので、「照明・ライト」に以下の様な「電源タイマー」をセットすることで、毎日決まった時間だけ点灯できるようにするのが一般的です。

また、コケが大量発生した時には、終日照明を消灯させ、コケの光合成を低下させるという対処法もあります。

太陽光ではそういった臨機応変な対応が取りにくいため、アクアリウムをやるならば照明の導入は必須と考えてください。

照明・ライトの種類

①LED
②蛍光灯
③メタルハライドランプ(メタハラ)

LEDの特徴とは?

昔は、LED照明は水草育成に不向き、という批判的な考えが一般的でしたが、最近は技術の進歩がめざましく、各メーカーが水草育成向きの光を出すLED照明を発表してきました。

ネットで探してもLEDで育てているアクアリストは多いですし、実際にショップにいけばいくらでもLEDのみで育てているきれいなレイアウト水槽を見ることができます。

他の照明タイプにも言えることですがもちろん製品によります。ただ、特にLEDは育つ育たないがはっきりわかれる商品のように思います。

これが蛍光灯をおすすめしやすい理由です。蛍光灯はLEDに比べ当たり外れがすくないんです。

なのでLEDを購入するときには、製品の評判を見て、水草育成実績があるかをしっかり確認してから購入することをおすすめします。

LEDのメリット

・ランニングコスト・電気代が安い
・長寿命(アクアスカイで30,000時間以上使用可能)

・インテリア性が高く、水槽全体として栄えがいい
・本体の重量が軽め
・光の色を選べる商品もある
・電気代は蛍光灯やメタハラに比べ多少安め

また寿命が長いためメンテナンスの必要性が減少します。

LEDは本体を薄くできるため、インテリア性が高い傾向があります。

光の色を変えられる機能がついたものもあり、青色の光にして水槽を青く照らすことも可能です。

こういった光の色の変化機能がついている商品の多くは水草育成には不向きですが生体メインの水槽や、光量を必要としない水草のみの水槽などで使用すれば部屋のおしゃれ度が一気にアップです。

LEDのデメリット

・光合成に必要な波長をカバーしきれない(赤系の波長が不足している)

・LEDの寿命が切れると、本体ごと買い換える必要がある

寿命は長いですが、買い替えの時に少々難があるのがネックです。

こんな時にLEDがおすすめ

◎生体メインの水槽

水草を育てないのであれば、低価格ラインナップで十分ですので、その場合にはLEDを選択して問題ありません。

蛍光灯の低価格ラインナップよりもおしゃれな形のものが流通していますので、光量を必要としないなら「見た目」で決めていいかと思います。

◎水槽のインテリア性を高めたい

蛍光灯やメタハラに比べ、圧倒的に本体を薄くできます。そのため軽いですし、何よりインテリア性が非常に高い商品が多いです。

◎蛍光管の買い替えがめんどくさい

蛍光管は半年程度で買い換える必要があります。LEDは数年単位でもちますので、メンテナンスは多少減ります。

蛍光灯の特徴とは?

アクアリウムに使われた歴史が最も長く、水草育成実績も豊富です。

むしろ流通している水草で、蛍光灯では育たない、というものは存在しないはずです。コストパフォーマンスにも優れ、商品数も圧倒的に多いです。

また、蛍光灯の光の波長はLEDに比べ、「赤色」の波長をカバーした商品が多いため、水草育成に向いている商品が多いと言われています。

また、蛍光灯本は「蛍光ランプ」を変えることで光量と色を変えられます。

そのため、蛍光灯本体が多少お安めのものでも、蛍光ランプを取り替えればある程度の光量の増加が見込めるということです。

◎蛍光管の最適な設置本数

あまり光量を求めない水草であれば蛍光灯2本でも可能ですが、それでは光量が不足する水草もあります。

蛍光灯のメリット

・水草育成実績が豊富(これで育たない水草はない)

・LEDよりも広い波長をカバーできる

・種類も多く、選択肢が豊富

・中についている蛍光ランプを取り替えることで、色、明るさを変更可能

・コストパフォーマンスに優れる

何よりも、長年アクアリウムで使用されてきた、という実績は重要です。

光量の確保さえできれば、波長はLEDよりも太陽光に近いため、水草の育成は行い易いといえそうです。また、流通量が多いため、そこそこの蛍光灯本体を比較的安価に入手可能です。

蛍光ランプを取り替えるだけでも水草の育成、水槽の印象が大幅に変わってきますので、もし今の蛍光灯に不満があるようなら本体を買い換えるより先に「蛍光ランプの買い替え」を検討してください。

蛍光灯のデメリット

使用を続けると、蛍光灯の明るさが減少し、半年程度で交換の必要がある。

やはりデメリットは蛍光灯交換のランニングコストでしょうか。他の照明は年単位で持ちますが、蛍光灯の場合どうしても徐々に明るさが落ちていってしまいます。

その場合、蛍光管の取替えが必要となります。蛍光管は電気屋さんで販売されているものでも代用は可能です。

こんなときに蛍光灯がおすすめ

◎いろいろな種類の水草を育てたい・今後水草を育てる可能性がある時

最も多くのアクアリストに親しまれているタイプの照明になるため、水草育成実績はぶっちぎりでトップです。そのため、製品によりますが、水草育成も一般的なものから高難易度のものまで幅広く対応できます。

◎なるべく安く水草を育てたい

低価格ラインナップのものでも、極端に能力は落ちません。中の蛍光管を取り替えることで見た目の透明度も向上させることができますので、安く水草を育てたいなら蛍光灯を選んでおけばいいと思います。

メタルハライドランプとは?

野球場で使われている照明と同じ種類のものが使われています。

水槽の上に置くのではなく、上部から吊り下げるタイプの照明ですので、水槽掃除の際にいちいち照明をどける、ということをする必要がありません。見た目は最も上級者っぽく、アクアリウム上級者感が出ます。

すべての照明の中で最も強く、最も太陽光に近い光を出します。

また、メタハラの光の特徴として、「点光源」で「直進性が強い」ことがよく挙げられます。つまりは横道をそれず真下に光が落る、ということです。

水深が深い場合、底まで光が届きやすく、点光源ですので真下と真下以外の箇所とで光のあたり方に強弱ができ、陰影ができやすい光といえます。

自然の雰囲気を出すのに最も適した光ですが、真下以外に影ができやすいので、影にある水草は育ちにくいです。

複数台設置するか、影になる部分に陰性植物を上手くレイアウトするテクニックが必要になります。ただし本体価格が他のものよりも高い上、稼働中は高温になるため注意が必要です。

また、強すぎる光のせいで、蛍光灯とは違った育ち方をする水草もありますので、そこは注意が必要です。

メタルハライドランプのメリット

◎吊り下げ方式なので水槽の上部が空き、作業がしやすい

・点光源で、光の直進性が高くレイアウトに陰影ができ雰囲気が出る

・圧倒的に明るい

・長期使用による光量の現象が起こりにくい

・光合成に必要な波長を最もカバーしている、太陽光に最も近い光を放つ

メタルハライドランプのデメリット

・水草が他の照明とは異なった育ち方をすることがある

・稼働時は高温になる

・高音になるため、水温・室温が上昇しやすい

・かなりまぶしく、設置場所次第では視界の邪魔になる

・設置している真下以外に影ができやすく、場所によって水草が育ちにくい

・光が強すぎるため、コケが発生しやすい

・本体価格が非常に高価

・中の電球が非常に高価(¥1,0000以上)

・吊り下げるためのスタンドが別途必要になる

あまり初心者向きとはいえませんので、はじめてのアクアリウムでの購入はおすすめできません。

こんな時にメタルハイルドランプがおすすめ

◎自然感を演出した水槽を目指したい

他の照明と異なり、こちらは「点光源」ですので、設置している真下が最も明るく、他の場所は徐々に影になっていきます。

そのため水槽内に陰影が強く出るため、水草のレイアウト次第でより「自然」の状態に近い雰囲気を出すことが可能です。蛍光灯・LEDで十分水槽レイアウトを楽しんで、新しいレイアウトに挑戦したい場合にもおすすめです。